カート・キャノンを英語で 続Ⅲ
掲載第三篇「フレディはそこにいた」、(原題は Now Die in It)です。
一泊25セントのバウアリの安宿、カートは、ある朝、ブロンクスからの知人にたたき起こされます。
義理の妹が妊娠したが、相手がわからないので調べてほしいといいます。1953年のニューヨーク、25セントの価値はどれくらいだったのでしょうか。日本では昭和28年、1ドル360円の時代のことです。
義理の妹の交友関係の聞き込み開始、カートはある女性を訪ねます。
「彼女はバーク・アベニューを、華やかなブロードウェイに化えてしまいそうな女だった。なるほど、これでは、近所が口うるさいだろう」
「She was Broadway on Burke Avenue, with all the glitter and all the tinsel――and I guess maybe the neighbors did talk a little about her.」
“with all the glitter and all the tinsel”は“ピカピカ、きらきら光るもの”。
“バーク・アベニューでも彼女はブロードウェイであった”を“華やかなブロードウェイに化えてしまいそうな女”としています。
バーク・アベニューはブロンクス公園の東北ですが、どんな地域なのか興味があります。
バーク・アベニュー駅近くで犯人を絞り込んだカート。春の夕暮れどきの描写です。
「燃えるような赤や、緑や、オレンジや、ブルーのネオンのきらめきが、闇にイブニングドレスの材料をあたえていた。暖かいそよ風が、まだ吹いていた」
「The neon flickers stabbed the darkness with the lurid reds and greens, orenges. blues, giving spring her evening clothes, There was still a warm breeze in the air,…」
“The neon flickers stabbed the darkness”は“ネオンが闇をちらついた閃光で刺し、春に色とりどりのイブニングドレスを与えている”という意味を都筑氏はこのような文章にしています。
ハードボイルドらしく、“stab”が使われています。
カートは犯人に目星をつけ、待ち伏せをします。その時の街の表情です。
「かれこれ午前一時半だ。街路には人影ひとつなかった。春は冷たい霧の中に退却してしまった。その霧は街頭の下で、なかなか捕まらない幽霊みたいに渦巻き、その光を曇らしていた」
「It was close to one-thirty in the morning, and the streets were deserted. Spring had retreated into a cold fog that clouded the lights from the lampposts and swirled underfoot like elusive ghosts.」
“be deserted”は“人っ子だれもいない”砂漠のような感じがよく伝わります。
犯人は思いも寄らぬ人物でした。人の良いカートは犯人の頼みを聞き入れ、あることをする羽目になってしまったところでこの物語は終わっています。










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