カート・キャノンを英語で 続Ⅴ-2
物語の後半で、カートは銃で撃たれてしまいます。
元ドクターらしき親切な人物に銃弾をとりだしてもらう場面です。西部劇でお馴染みのシーンです。この事件で愛する人を亡くしたダンサーもそばにいてくれます。
「おれは酒瓶を口にあてっぱなしで、大先生が弾丸をぬきはじめたときには、瓶を噛みくだきそうになった。おれは安酒をやけに呷った。頭に酔いがのぼるにつれて、壁の影と裸電球がダリの絵のように歪みはじめた」
「I kept the lip of the bottle to my mouth, almost biting a chunk out of the glass when the Professor started to dig. I swallowed more cheap wine, and it sank to the pit of my stomach, and it turned and smoldered there, and the fumes reached into my head and made the shadows and the swinging bulb something out of Dali painting.」
銃弾を取り出すときに立ち会ってくれた彼女のことを思いながら安宿に帰っていくカート、「彼女は新聞で事件の結末を知ることだろう」と思いながら。
「あの子はいい子だ。すてきな子だ。だが、あの子には幽霊がついている。幽霊と張りあうなんて利口じゃない――なせなら、秋はものみな死にいく季節なのに、死なないものがひとつある、そのひとつというのが、幽霊だからだ」
「She was a nice girl, a swell girl, but her competition was a ghost――and ghosts are the only thing that never die in autumn.」
この短い英文からこれだけの文章が生まれるのは、都築氏が全文を自分の文章として理解しているからでしょう。感嘆します。
都築氏はカート・キャノンになっていたかも知れません。
いい子は、この事件で好きなボーイフレンドを殺されていますから、それを幽霊だとカートは言っています。なぜならカートもトニというかつての妻にとりつかれているからでしょう。
場面の季節は秋です。秋は心に過去が蘇る季節。
洋の東西を問わず思いがつのるのは秋なのでしょうか。











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