タフでなければ生きていけない…
ハードボイルドといえば月刊「マンハント」の時代でした。ハードボイルド小説の全盛の時代だったように思います。
ハードボイルドとは、感傷や恐怖などの感情に流されない、冷酷非情な、(精神的・肉体的に)強靭な、妥協しない、などの人間の性格を表す言葉ですが、ハードボイルド小説の主人公の多くは人情に流されてはいけないと自己に諭しながら、情に流される人物でした。
その後、男の優しさが脚光をあびました。曖昧な男の登場です。
優しさと曖昧さの区別ができない、というか、区別しない女性の時代の到来です。
この頃から離婚率が上昇しました。優しいと思った男性が、実は単なる曖昧な性格であったことに気付いたためでしょうか。
ハードボイルド時代に、輝いたセルフが、「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」でした。レイモンド・チャンドラー原作の「プレイバック」で主役の弁護士、フィリップ・マーロウが言った台詞です。
清水俊二氏の訳文では:
「彼を愛しているのかい」
「あなたを愛しているんだと思ってたわ」
「あれは夜だけのことさ」と、私はいった。「それ以上のことを考えるのはよそう。台所にまだコーヒがある」
「もういらないわ。朝のお食事のときまで飲まないわ。あなた、恋をしたことないの?毎日、毎月、毎年、一人の女といっしょにいたいと思ったことないの?」
「出かけよう」
「あなたのようにしっかりした男がどうしてそんなにやさしくなれるの?」と、彼女は信じられないように訊ねた。
「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」
原文では:
“You in love with him?”
“I thought I was in love with you.”
“It was a cry in the night,”I said. “Let’s not try to make it more than it was. There’s more coffee out in the kitchen.”
“No, thanks. Not until breakfast. Haven’t you ever been in love? I mean enough to want to be with a woman every day, every month, every year?”
“Let’s go.”
“How can such a hard man be so gentle?”she asked wonderingly.
“If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.”
“hard”と“gentle”、“やさしさ”と“あいまいさ” ――
人生を大切に生きるためには、差別は許されませんが、区別して判断することは欠かせません。











Recent Comments